ガラスフュージングで準備する物(材料)

ガラスフュージングで準備するものは大きく分けて3種類あります。

  • ガラス
  • ガラスを焼く電気炉・電気窯
  • ガラスを加工するための基本的な道具

この3種類の準備物について詳しく説明していきます。

ガラス

一般的にガラスと言っても、ガラスフュージングで使用されるガラスの形は様々です。

板ガラス、棒ガラス、粒ガラス、粉ガラス、薄い破片の様なガラス、金太郎飴の様なガラス等が有ります。

板ガラス(シートガラス)

透明なクリアと呼ばれるガラスと色ガラスがあり、色ガラスにも透明系、不透明系があります。

色ガラスにはストライカーと呼ばれるガラスがあり、焼成前と焼成後の色が変わるので、管理に注意がいります。

例えば、ブルズアイ社の透明系のイエローとオレンジでは、焼成前にはほとんど色がなく、クリアの様に見えるので管理段階で色が分からなくなってしまうと、焼成後に思いもよらない作品が出来上がります(笑)

ストリンガー

太さ1ミリ程の細い棒状のガラスで、板ガラスの上に置いてデザインとして使用するだけでなく、板ガラスの間に挟む事で、泡の入った作品も出来ます。

ストリンガーにも、板ガラスと同様にクリア(透明)と透明系の色ガラス、不透明系の色ガラスがあります。

また、バーナーやライター等で熱を加える事により、曲げる事も可能です。

単色での販売もありますが、たくさんの色がミックスされた商品も販売されています。(ブルズアイ社)

フリット

粒ガラスの事で、フリットとして販売もされていますが、ガラス用のくい切り(ザグザグ)を用いれば、自分で砕いて使用できます。

パウダー

粉状のガラスで、フリットと同様に、少しなら自分で砕いて擦り潰し、粉状にする事も出来ますが、必要な量が多くなればなるほど、かなりの労力が必要です。

パウダーフュージング(粉状のガラスを使用する技法)やパート・ド・ヴェール(粘土と石膏で型を作り、粒ガラスや粉ガラスを詰める技法)に使用するには、販売されてる粉ガラス(パウダー)を購入するのがおすすめです。

また、ガラスを砕く機械も販売されていますのでその機械に関しては、また別の機会に紹介させて頂きます。

コンフィティー

極薄の不定形なガラス片で、シートガラスの上に散らして焼成するだけで、模様が入れられます。

このコンフィティーも、色別やミックスカラーで販売されています。

ミルフィオリ

イタリア語で千の花と言う意味で、金太郎飴の様な棒状のガラスをカットされた物です。

一般的にミルフィオリと呼ばれる物はヴェネチアンガラスのモレッティ社の商品で、膨張係数が104です。

ミルフィオリを使用する際は、同じ会社のガラスを使用する必要があります。ブルズアイ社からも少し販売されているようですが、ブルズアイ社の膨張係数は90ですので、膨張係数ごとの管理が必要です。

ミルフィオリにも、透明系と不透明系があり、直径3ミリ~10ミリ弱の大きさのものと、トロンコーニと呼ばれる直径約15ミリ~30ミリのものがあり、色々な模様がミックスされ、大きさ毎にグラム数で販売されています。(色別に販売されている店舗も有ります)

どのガラスも、色によってランク分けされていて、価格も違います。

ガラスフュージングを始めて間もない頃に、何も知らずに講座でピンクのガラスを使用して、帰る際の支払いでびっくりしたことがありました。

ピンク系のガラスはランクもとびぬけていて、高額なガラスのものが多いです。

電気炉・電気窯

フュージングする上で、必要不可欠なのがガラス電気窯です。

ガラスフュージングを行う上で、温度管理は最重要項目です。

ガラスは熱が伝わりにくいので、時間をかけてトップ温度(約800度)まで上昇させ、時間をかけて温度を下げる必要が有ります。

また、合わせたガラスが大きければ大きいほど、厚ければ厚い程、ガラス全体を均一な温度にするために、ある一定の温度でキープする事も不可欠になります。

15センチ程度のお皿であれば、トップ温度まで5時間~8時間、自然徐冷で窯から出せるまでに10時間程度ですが、数十センチの物で厚みのある作品に関しては、徐冷に(温度を下げていく時間)1週間要したと聞いた事が有ります。

用途に適した窯選びが必要になります

小型電気炉

安価な小型電気炉ですと、内寸が巾85mm奥行き120mm高さ60mmなので、アクセサリーや箸置き、豆皿等の小さいものは作れますが、8㎝以上のお皿等は作れません。

また温度設定は出来ますが、時間管理等は手動で行う必要が有ります。

逆に言えば、小さい物しか焼けないので、細かな時間管理がなくても焼成は可能であると言うことです。

電気炉( Super500ST )

窯によっては、プログラミング出来る窯もたくさん有ります。

何種類か予め設定出来る物も有ります。

私の使用している窯は、城田電気炉材㈱のSuper500STで、プログラミングは出来ないので、機械任せと言うわけにはいきませんが、上昇スピード、キープ時間は設定出来ますので、厚いガラスにも対応出来ます。

また、扉が前開きと上開きがあり、私が所有している窯は前開きで、手前の方が温度が低くなること、目視でガラス全体の溶け具合が確認しづらい等のデメリットが有ります。

しかし、サギングという深さを出す成形技法においては、横からの目視(落ち具合の確認)が容易にできるというメリットがあります。

熱源がどの面に有るのか、温度の計測器は何処に有るのか、場所によっての溶け具合等々、窯の特性を知る事が、フュージングをより楽しむ鍵になります。

電気炉(ART KILN SV-1)

ポーセラーツの教室等で良く使われている ART KILN SV-1は、電気工事が不要な家庭で使われている中ではかなり大きい電気炉になります。

SV-1は、最初からプログラミングがセットされていて、ガラスフュージング等の細かいプログラミングも、自作でセット出来ます。

ただし温度を下げて行く時の温度設定は出来ないので、大きい厚い作品等の徐冷には工夫がいりそうです。

扉は上開きなので、窯入れの際のレイアウトのずれや焼成中の溶け具合等の確認がしやすいです。

電気窯を使用する際に必要な道

  1. 離型剤
  2. 離型剤を棚板に塗るはけ
  3. 離型紙

ガラスはフュージングする際、液状化するまで温度を上げるので、棚板には必ず離型剤を塗らないとガラスが引っ付いてしまい、ガラスも棚板もダメになってしまいます。

一般的には、離型剤、離型紙のダブル使いで焼成しています。離型剤は一度(1回に4~5度の重ね塗り)塗ると、10回程度使えますが、離型紙は1回の使い捨てです。

離型紙は一旦焼成すると、粉状になってしまうので、窯から作品を取り出すとき、離型紙を捨てる際には、粉を吸い込まないように、必ずマスクを着用します。

離型剤に関しては、先に述べた水で溶く粉状のタイプ(シェルフプライマー)とスプレータイプがあります。

ガラスを加工するための基本的な道具

  1. ガラスカッター
  2. カッター用オイル
  3. ステンレス定規
  4. ガラス用ペンチ2本
  5. ガラス用くい切り(ザグザグ)
  6. ランニングプライヤー
  7. 消毒用アルコール
  8. フュージングのり
  9. コンパス(油性ペンを挟めるコンパス)
  10. カッターマット
  11. 油性ペン
  12. 保護メガネ・保護手袋

その他に作る作品によって、研磨用具や穴を開けるハンドリューター、セラミックファイバーボード(1000度以上の熱に耐え、ガラスにくっつかない素材で型の材料)、モールド(型)等が必要になります。

またガラスを手動で粉状にする場合は、乳鉢とすりこぎが必要です。